2005 SEMINAR INFORMATION
2006.2.11 updated
Seminar
*1号館116号室にて.
4/4(MON)13:30-平野哲文(コロンビア大)Dynamical Modeling of Relativistic Heavy Ion Collisions
4/27(WED)15:00-北沢正清(基研)カイラル相転移・カラー超伝導の臨界温度近傍におけるクォークの準粒子描像
5/11(WED)15:00-江尻信司(東大本郷)格子QCDの数値シミュレーションによる高温・高密度QCDの状態方程式の研究
高温高密度でのQCDの相構造や相転移点付近での熱力学的様相について, 格子QCDの数値シミュレーションによって得られた最近の結果を紹介する. バリオン数密度がゼロでない場合のシミュレーションには「符号問題」という 深刻な問題があり, つい最近までそのシミュレーションは不可能であると 思われてきた. しかし, コンピューターの性能が進歩して, 比較的容易に ダイナミカル・クォークを含むシミュレーションができるようになると, その問題が低密度領域ではそれほど深刻でないことがわかってきた. その「符号問題」が解決されたというわけではないが, 重イオン衝突実験で 作られる状態は比較的密度の低い状態なので, 実験で興味のある低密度領域 での定量的な研究が可能になったことが, 最近の大きな進展である. また, そういった問題がない密度ゼロの点で物理量を化学ポテンシャルに ついてテイラー展開して, その展開係数をシミュレーションで計算し, 有限密度の領域に外挿するという方法でも, クォークグルーオンプラズマの 熱力学的性質に関して一定の情報が与えられることもわかった. この講演では, 低密度領域での状態方程式の研究を主に紹介し, 今後の展望についても議論したい.
5/25(WED)15:00-前沢祐(東大本郷)ノナクォーク系としてのストレンジトライバリオンについて
最近, ストレンジトライバリオンS^0(3115)の存在が, KEK-PSにおけるK中間子と ヘリウム原子核との反応で報告された(Suzuki et al. Phys. Lett. B 597 (2004) 263). これが, 赤石・山崎らにより予言されていたK中間子原子核(pnnK-)とすると, 約110 MeVの結合エネルギーと, 核物質密度の約3倍の平均密度を持つ深く束縛 した状態であると考えられる. 我々は, このようなハドロン描像とは反対の極限であるクォーク描像にたって, トライバリオンのスペクトルを考察した. このときS^0(3115)の最小のクォーク構成は(3u)(5d)(1s)であり, 9-クォーク系 (ノナクォーク)と考えることができる. 我々はノナクォーク系に対しカラー, フレーバー, スピンの対称性による群論的分類を行った. さらにカラー磁気相互作用の効果により フレーバー27重項がスピン1/2, アイソスピン1の状態で最も深く束縛する事を示し, S^0(3115)がこのフレーバー27重項に属する可能性を指摘した. また, ストレンジクォークの存在が, 全系の反対称化とカラー磁気相互作用のために, 低いフレーバー表現のノナクォーク系のエネルギーを下げる事に注目し, S^0(3115)を 基準にして, 未発見の軽いS=-1,-2,-3を持つストレンジトライバリオンについて考察した. 本セミナーでは, 多クォーク系としてのトライバリオンに関する上記のような研究を 紹介する.
6/2(THU)16:20-江角晋一(筑波大)RHICにおける高エネルギー重イオン衝突
6/22(WED)15:00-杉山淳(東工大)QCD和則を用いたペンタクォークの研究
6/29(WED)15:00-大西一聡(基研)カイラル相転移の非平衡臨界現象
カイラル相転移の非平衡(動的)臨界現象について議論する. その知見は相対論的重イオン衝突実験や初期宇宙の時空発展を理解する うえで重要である. 従来, カイラル相転移の動的ユニバーサリティクラス は反強磁性体と同じであると考えられてきたが, 両者の違いを指摘し モード結合理論を用いた再解析を行う. さらに, くりこみ群によるより 詳細な解析を紹介し, 固体の構造相転移との関連を踏まえながら, カイラル相転移におけるメゾンモードの振る舞いを議論する.
7/6(WED)15:00-Mei Huang(東大本郷)Spontaneous baryon current generation in the gapless phase
10/12(WED)15:00-熊野俊三(KEK)核子と原子核のパートン分布関数
1 序論
2 核子の非偏極パートン分布関数の現状
3 核子の偏極パートン分布関数
 偏極構造関数
 偏極パートン分布関数の最適化
4 原子核のパートン分布関数
 構造関数とパートン分布関数の原子核補正
 原子核のパートン分布関数の最適化
 今後の展望
10/19(WED)15:00-藤井宏次(駒場)最近の研究会報告
10/28(FRI)15:00-日高義将(KEK)Generalized Hidden Local Symmetryアプローチにおけるカイラル対称性の回復
カイラル対称性の回復のパターンとして2種類のシナリオが提唱されて いる.1つはパイオンのカイラルパートナーがシグマ中間子というシナ リオ,もう1つはパイオンのカイラルパートナーがρ中間子であるとい うシナリオである.我々は一般化された隠れた局所対称性のアプローチ に基づき繰り込み群の解析を通じて媒質中でどの回復のパターンが実現 するか可能性を調べる.
11/14(FRI)15:00-阿武木啓朗(YITP)クォーク物質におけるBCS-BECクロスオーバー
BCS-BECクロスオーバーは引力相互作用するフェルミオン系において普遍的 現象であると考えられているにもかかわらず, 相対論的な場合, つまり運動学 的なフェルミ運動量, あるいは相互作用エネルギーが質量のオーダーよりもは るかに大きくなる, カラー超伝導のような系においてのクロスオーバーは, そ れを示唆するいくつかの研究はあるものの, 未だ定量的解析はなされておらず, その存在さえも厳密には示されていない.  そこで本研究においては, 揺らぎ, とくに束縛したボゾンからくる密度に着 目し, 相対論的フェルミ系におけるクロスオーバーの有無, 及びその性質を調 べる. 特に, 質量が有限の場合は2段階のクロスオーバーが存在しうることを 明らかにする.  具体的には, 4-Fermiモデルを用い密度保存の条件に対してガウス揺らぎの 効果まで取り入れた上で, 秩序生成温度の結合依存性をみる. 結合を強くして いくと, やがて束縛したボゾンが系に現れそれによりTcは一旦抑えられるが (BEC領域), さらに結合をあげていくと反ボゾンの効果により急激に上がりは じめ「相対論的BEC領域(RBEC)」に移行する. RBECの熱力学的性質は軽いボゾ ンの存在により通常のBCS状態と大きく異なる. 特にTcとは別にボゾン解離温 度(Mott温度)という, 新しい温度スケールが存在し, この温度の振る舞いに強 結合BECへのクロスオーバーがどのように反映されるかを議論する. 最後に, QCD相図に対してspeculationを行い, 強結合のQGPプラズマの物性に対する BCS-BEC-RBECクロスオーバーの視点の重要性を指摘する.
11/9(WED)15:00-佐久間史典(京大/RIKEN)Mass modification of phi meson measured in 12-GeV p+A reaction at KEK-PS E325
KEK-PS E325実験における,φmesonの質量に対する核物質効果の測定結果に ついて議論する. 近年, 核物質中においてカイラル対称性の部分的回復の可能性がさかんに指摘 されているが, E325実験の目的は, ベクター中間子の質量に対する核物質効果 を測定することによりカイラル対称性の部分的回復を実験的に検出することで ある.  我々はρ/ω/φ→e+e-, φ→K+K-の不変質量を測定し, ρ/ω→e+e-におい ては, 不変質量分布に核物質効果が現れていることを示した [PRL.86(2001)5019. and nucl-ex/504016]. φ→e+e-においても, 不変質量分 布に核物質効果が現れていることを見いだしており, 簡単なモデル計算の結果, 原子核内でのmass-shift及び崩壊幅の増加を考慮したときdataを再現すること が分かった.  また, φ→e+e-/K+K-の生成断面積の原子核依存性をσ(A)=σ(0)A^αとして 見たときに, α(e+e-)<α(K+K-)という結果が得られた. これは原子核内での 崩壊部分幅の変化を示唆しており, φmeson及びKaon両方に核物質効果が現れ ている可能性がある. 本セミナーではφmeson及びKaonに対する核物質効果に ついて議論し, また, 理論の視点からのアドバイスを頂きたい.
11/25(FRI)15:00-Prof. J.-P. Blaizot(ECT*, Italy)Kanto-Hadron seminar --- Thermodynamics of hot QCD --- (ppt)
12/2(FRI)15:00-辻晶弘(東大駒場素粒子)AdS/CFT correspondence and quark confinement
現在, 超弦理論はその非摂動的な性質を調べる段階にあるが, AdS/CFT対応 はその中でももっとも重大な発見の一つである. AdS/CFT対応の発見によって, 我々は理論の強結合領域をまったく別の理論の摂動論を用いて記述できる可能 性を見出した.  本セミナーでは, まずAdS/CFTの発見に至るまでの超弦理論の発展を概観し, その上でAdS/CFT対応, とくに, 最も基本的な対応と考えられている$AdS_5 \times S^5/\mathcal{N}=4 SYM$の間の対応関係がもつ基本的な特徴を説明す る. その後, もっともAdS/CFT対応を理解する上で最も重要な関係式である GKP-Witten relationを紹介し, 具体的な物理量の対応関係について言及する.  次に, クォークの閉じ込めにむけた, AdS/CFT対応によるWilson loopの解析 に関する研究について触れる. 特に, 閉じ込め相が存在するためには理論が持っ ている超対称性を破らなければならないが, それに関するWittenの試みに関し て説明する.  最後に, AdS/CFT対応の最近の発展である, BMN対応, spin chain, LLM対応 などについて時間があれば紹介していきたい.
12/14(WED)15:00-Sakai Tadakatsu(Ibaraki)Low energy hadron physics in holographic QCD
12/21(WED)15:00-Akiba Yasuyuki(RIKEN)Probing the properties of dense partonic matter at RHIC
1/27(FRI)15:00-Matsuura Taeko(Hongo)Ginzburg-Landau approach to Color Superconductivity
2/1(WED)15:00-Yokokawa Kazuo(Hongo)Study of J/psi-Hadron Interaction from Lattice QCD

Journal Club
*3号館101号室にて.
5/13(FRI)16:00-AraiGlobally Polarized Quark Gluon Plasma in Non-central A+A collisions
Liang, Z.-T. and Wang, X.-N., Phys.Rev.Lett 94, 102301, 2005.
5/20(FRI)16:20-Fujii, hFollow-up for Arai-kun's report.
5/27(FRI)16:20-Fujii, tInstanton traces in lattice gluon correlation
Boucaud et al., hep-ph/0505150.
6/3(FRI)16:20-Fujii, hEffect of shear viscosity on spectra, elliptic flow and HBT radii.
D.Teaney, PRC68 (03) 034913
Transport coefficients in high-T gauge theories (I).
Arnold-Moore-Yaffe, JHEP0011(00)1. See also G.Moore, hep-ph/0408347.
6/10(FRI)15:00-MatsuoQuantum Opacity, The RHIC HBT Puzzle and the chiral phase transition.
Cramer et al, PRL94 (2005) 102302.
6/15(WED)15:00-
@16-829
KohamaSchroedinger Functional Formalism with Ginsparg-Wilson Fermion
Y. Taniguchi, hep-lat/0412024.
6/17(FRI)16:20-MatsuiEquation of State of Gluon Plasma from a Fundamental Modular Region
D. Zwanziger, PRL94, 182301 (2005). See also Gribov, NPB139, 1 (1978), Zwanziger, NPB485, 185 (1997).
6/24(FRI)16:20-NagaiApparent thermalization due to plasma instability in QGP
Arnold, Lenaghan, Moore, Yaffe, PRL94 (2005) 072302.
cf. JHEP 0308, 002. Weibel instability, PRL2 ('59) 83.
7/1(FRI)16:20-OhtaComments on the life and methematical legacy of Wolfgang Doeblin
B. Bru and M. Yor, Finance and Stochastics 6, 3 (2002)
7/13(WED)15:00-
@16-829
TerasakiConical Flow by Quenched QCD Jets
E.V.Shuryak and D.Teaney, hep-ph/0411315
7/15(FRI)16:20-TsutsumiPrethermalization and the effects of dynamical correlations
T.Kodama, H.T.Elze, C.E.Aguiar, T.Koide, cond-mat/0406732
10/14(FRI)16:20-AraiReview on Color Glass Condensate
10/21(FRI)16:20-TerasakiRecombination of shower partons at high pT in heavy-ion collisions
R.C.Hwa and C.B.Yang, PRC70, 024905 (2004)
10/26(WED)15:00-
@16-829
OhtaQuantum Fields in expanding universe
11/2(WED)15:00-
@16-829
MatsuiPhoton Correlations
PRL10 (1963) 84-86.
The quantum theory of optical coherence
PR130 (1963) 2529-2539.
Coherent and incoherent states of the radiation fields
PR131 (1963) 2766-2788 by Roy Glauber.
11/18(FRI)15:00-KohamaQCD phases in Lattice QCD
S. Aoki, hep-lat/0509068
2/3(FRI)15:00-NishiyamaGrand Unified Theories and Proton Decay
P. Langacker, PR 72C, 185, 1981
2/10(FRI)15:00-HattoriQCD at finite baryon density: Nucleon droplets and color superconductivity
M. Alford, K. Rajagopal and F. Wilczek, PLB422 (1998), hep-ph/9711395.