講演の要旨


■ Relativistic Mean Field Description of Nuclear Collective Rotation ■


相対論的平均場(RMF)モデルは、原子核を、核子と平均場としての中間子から なる相対論的多体系として記述するもので、これまでに原子核の基底状態の 多くの性質を再現することに成功している。さらに、有限核の励起状態へ 適用する試みもなされている。1989 年にミュンヘンのグループは、有限核の 集団回転による励起状態への適用を行なった。しかし、回転系が非慣性系で あるので、一般相対論的な手法を用いて定式化を行なうのが望ましいにも 関わらず、彼らの定式化は一般共変的なものではなかった。そこで我々は、 一般相対論の手法を用いた定式化を行なった。さらに、彼らのグループの 計算は、まだ非常に限られた領域の原子核に対してしか行なわれていない。 そこで我々は、中性子不足の Zn アイソトープにおける超変形バンドに 対する計算を行なった。これは、昨年 $^{62}$Zn において、この領域の 超変形バンドとしては初めての実験データが得られたことを受けて行なった ものである。 このセミナーでは、我々が行なった定式化の概要と、Zn アイソトープに対する 数値計算結果、さらに、3 次元的な回転運動への拡張(Relativistic Tilted Axis Cranking)などについて、ミュンヘンのグループの計算結果なども 含めた簡単なレビューを行なう。

間所 秀樹

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