2001年度 東大駒場原子核理論セミナー

於 駒場3号館1階101号室


ハイペロン物質とK 中間子凝縮

abstract: 中性子星内部で実現される高密度核物質として、中性子及び少量の陽子、 電子 からなる通常の中性子星物質中に$\Lambda$, $\Sigma^-$ などのハイペロンが混在する 可能性が指摘されている(ハイペロン物質)。ハイペロン物質の存在は、核物質の状 態方程式 の軟化を通して、中性子星の構造や冷却に影響をもたらす。一方、ストレンジネスの 発現の 観点からはK 中間子の凝縮が考えられ、高密度ハドロン物質の相転移としても注目さ れてきた。 このセミナーでは、高密度核物質中でのこれら2つのタイプのストレンジネス発現機 構の関係を 明らかにするため、ハイペロン物質中でのK 中間子の分散関係を得、kaon 励起モードの 運動量依存性、及びバリオン数密度依存性について検討する。その結果、 従来のs波 K 凝縮 とは異なる凝縮の機構--- kaon モードが有限運動量(p波)で凝縮する可能性--- があ ることを指摘する。 また、このp波K 凝縮相の臨界密度以上の密度での状態方程式を検討し、系の特徴に ついて検討する。

最終更新日:2001年10月3日
連絡先:大西一聡 < konishi@nt1.c.u-tokyo.ac.jp >
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