2001年度 東大駒場原子核理論セミナー

於 駒場3号館1階101号室


カイラルクォークソリトン模型による2核子系の研究

Jaffe による予言以来、ダイバリオンの探索は原子核物理学の興味深いトピック であり続けている。この問題に対しては、従来のハドロン描像ではなくクォーク の自由度に立脚した理論が必要になるが、QCD を直接取り扱うことは困難である ために、なんらかの模型を用いる必要がある。QCD の低エネルギー有効理論であ るスキルム模型は、核子やその多体系である原子核について、さまざまな興味深 い情報をもたらす。スキルム模型においては、パイオン場の配位にトポロジカル な仮定を課す必要があるが、その物理的な必然性は明らかでない。我々は、この パイオン場配位をクォークに対する平均場ポテンシャルとして持つカイラルクォ ークソリトン模型を用いて、価クォークの一粒子準位のふるまいに注目すること により、2核子系に対して用いられる配位の物理的な意味について考察する。さ らに、ストレンジクォークを含んだダイバリオンについての考察をするために、 模型のSU(3) への拡張についても議論する。最後に、今後の課題についても述べ たいと思う。

最終更新日:2001年5月10日
連絡先:大西一聡 < konishi@nt1.c.u-tokyo.ac.jp >
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